それは、太陽と番った海だ

楽しい1日は睡眠から

音楽の色気について

音楽の色気とは他人に聴いてもらうために必要なもの。

それは野暮ったくなく、洗練されすぎてもいない「粋」な演奏のことだ。

 

今回は色気の1つである「律動性(リズム)が持つエロティシズム」について考えていきたいと思う。

 

律動性(リズム)のエロティシズムはとても奥深い。

優れた音楽家の表現するリズムの揺らぎは、人々の血潮を滾らせる。そして(生・性)と(死)を表出し、生死が交わる非日常へと誘い出すこともできるのだ。

 

とても面倒だが、音楽について考える時の基準を紹介しないといけない。

これは音楽を聴く上でとても重要なものになる。

出来るだけ簡潔にグラフにまとめた。

 

 

基準の概念が大きく分けて3つある。

 

  • エロティシズム(体)
  • メタフィジクス(心)
  • 実存

 

これらをグラフにする際は、x=エロティシズムy=メタフィジクスz=実存とする。

本来ならば3つを使って説明するべきだが、z軸の実存を含めてしまうと今回の説明がより複雑になるので割愛する。

グラフは下記になる。

 

 

 

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そして、音楽用語に当てはめると下記のグラフになる。

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グラフの中に書き込まれた図形は音楽を聴いた時の分類を視覚化した形だ。

抽象化された図形だが、音楽は時間芸術なのでグラフの空間の中で様々な形を取りながら、変形するのが実態になる。

 

 

長い前置きはここまでにして、

本題の「律動性(リズム)が持つエロティシズム」へ移ろう。

 

今回は「シャッフル(盆踊りの太鼓など)とストレート系(8分音符など)の音符が共存しているリズム」を紹介したいと思う。

 

これを表現するのに必要なのは上記グラフにもあった噪音楽音(音階)の2つ」になるこれは楽譜で表現するのが非常に難しいリズムになっている。なぜなら、常に縦の線が噛み合う訳じゃなく、噪音か楽音のどちらかが速く、どちらかが遅い独特な秩序だからだ

 

 この独特のリズムを探るために紹介したい音楽家は以下の4人になる。

  

 

かつて、多くの物乞い音楽家たちがいた。

それは盲人であったり、仕事のない土地の人だったり様々だ。これらの人々は音楽を聴いてもらうために多くの知恵を生み、引き継いできた。

 

津軽三味線高橋竹山の自伝で、「門付けの旅に出て、家の軒先で歌と三味線を聴いてもらい、米やお金をもらった」という話がある。この内実は冬国で死と隣り合わせの徒歩での遠征であった。

 

さぁ、彼の演奏を聴こう。

 


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撥が微かに跳ねたリズムを匂わせて、旋律は聞き取りやすい言葉のように耳に届く。

撥の刻むリズムは3連符寄りの8分音符、弦が鳴らす旋律は8分音符のようでいて、3連符と親しい位置にもたれかかる。6連符の飾りが付くことでより美しい律動性を生んでいる。

 

次はMississippi Fred McDowellの演奏を聴いてみよう。

 


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ゆっくりとしたブルースソング。

1拍目と3拍目で足踏みをして、シャッフル系のギターの上にストレート寄りの歌。

 

この文脈で続けて聴いていこう。

 

Jimi Hendrix - Born Under a Bad Sign from Oliviero 'Olli' Rocca on Vimeo.

 

少し高橋竹山の香りに近いものがある。

8分音符がメインのベースライン。

ドラムは少し後ろ気味のストレート系のリズムだが、フィルなどでシャッフルを匂わせる。

ギターのジミヘンは解説すると長いので感じてほしい。

 

最後にこのエロティシズムの1つの本質に辿り着いたD'Angeloを聴いて終わろう。

これはドロドロとした深い噪音の暗闇に寄り添うことのできた数少ない楽音のハーモニーだ。

前の3曲に比べるとテンポが上がる。ミドルテンポになることで表出するのは何か。

リズムセクションが揃った時、この音楽は受肉する。

 


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これらの音楽をスピーカーでしか聴けないのがもどかしい。

仕方ないので、大きな音で聴きながら、目を閉じて、目の前で演奏しているのを想像しよう。(そして、踊ろう)

 

 

今回の記事は、先生の書いた曲を聴いた時に感じた事を言語化するにあたって、リズムの話をまとめたいと思ったので書いてみた。これが先生の作曲に役立つと嬉しいので、この記事を下敷きに先生と話し合ってみようと思う。