それは、太陽と番った海だ

楽しい1日は睡眠から

「君たちはどう生きるか」の感想

昨日、レイトショーで観てきた。簡潔な感想は許されたという気持ちだった。

 

映画全体が岩波少年文庫の名作を宮崎駿の鍋で煮詰めたシチューで、彼の自伝のような浄罪の物語に感じた。観る前に想像していたのはシャガールの絵画のような映画。それをアニメーションという形で本当に実践していた。シャガールの自伝はほぼ全編が詩のような世界に包まれている。この映画も宮崎駿の詩的な自伝かもしれない。

 

男の子の視点で描かれているからか、懐かしさに溢れていた。仲の良かった女友達や昔の彼女たちが苦なく思い出された。辛い記憶もたくさんあるはずなのに、自分を変えた出来事が優しく引き出されていった。

 

この作品は優しい。男の子にこれから起こる事。大人の男が体験した事。それらが児童文学らしい向こう側の出来事として描かれていた。80歳を過ぎた男がこの作品を作った事に感謝したい。

 

この映画を歌で例えるなら赤とんぼだ。事実と詩の境目に、生きる残酷さが救われる。

 


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