苦しかった夏が終わった。
大好きな冬が来る。
しかし、繰り返される季節が情緒を揺さぶるのだ。
幾重にも重なった大小の輪を想像してほしい。
一日が過ぎることも、季節が変わることも、人が死ぬことも、すべて輪になっている。
そして、この循環する輪がぼくたちの郷愁を生む。
直線的な時間が過ぎていくだけなら、きっと喜びを多く記憶するだろう。
だが、(循環する時間=)金木犀の香りは過去の思い出ばかり呼び起こす。
香木というのは罪深い。
思い出すのは、もう会えない人やいない人ばかりだ。
この気持ちを残すことはできないだろうか。書き記すだけでなく、体験として。
音楽を聴こう。